資産形成は早く始めたほうがいい。それは分かっていても、始められない時期があります。
今でこそ株式投資をしているわたしですが、こんな自分の姿を数年前のわたしは想像できていませんでした。
わたしが貯金を意識しはじめたのは30代後半。当時は派遣で働いていて、毎月が自転車操業です。将来のためにお金を残すという発想が、そもそも頭にありませんでした。
派遣時代は、今を楽しむほうが大事だった
給料日にお金が入って、月末には残っていない。この繰り返しでした。
言い訳ではなく、当時は本気で「今を楽しまないと」と思っていました。契約がいつまで続くか分からない働き方で、数十年先のために我慢するという考え方に現実味がなかったからです。先が見えないときほど、人は目の前の楽しみを選びます。当時のわたしがまさにそうでした。
貯金の話題が出ると、なんとなく居心地が悪くなる。かといって何かを変えるわけでもない。この状態が何年も続きました。
コロナで外に出なくなったら、お金が貯まった
流れが変わったのはコロナでした。
外食も旅行もなくなって、支出がまとめて消えました。何かを我慢したつもりはないのに、口座の残高が増えていきます。「使っていなければ貯まる」という当たり前のことを、このとき初めて実感として理解しました。
同時に、時間も余りました。人と会わない日が続くと、考えるのは自分のことばかりになります。この先どう働くのか。何にお金を使いたいのか。外に出られない期間が、自分の今後を見つめ直す時間になりました。
40歳が近づいて、独身だからこそ老後を考えた
そこに40歳という節目が重なりました。
独身なので、老後を誰かと分担する前提が使えません。家計を支え合う相手も、頼れる子どももいない。生活費も介護が必要になったときの費用も、自分で用意することになります。
このとき初めて「資産形成」という言葉を自分ごととして意識しました。それまでは、お金に余裕のある人がやることだと思っていた言葉です。
焦りはありました。20年近く働いてきて、手元にあるものが少なすぎる。それでも30代後半で気付けたのは遅すぎなかったと今は思っています。
最初にやったのは、お金の使い道を見える化すること
まずはじめたのは、自分の支出を把握することでした。
それまで自分が何にお金を使っているのか、説明できませんでした。生活のために必要な額と、なくても困らない額の区別がついていません。この状態のままでは、いくら投資に回せるのかも決められません。
やったのは次の4つです。
- コロナ前の支出を、半年分まとめて月別・項目別に書き出す
- コロナ禍の支出を、数か月分だけ項目別に書き出す
- 2つを照らし合わせて、どの項目の支出が減ったのかを確認する
- 減っていた支出が、本当に必要だったものかを考える
減っていたのは、外食とコンビニのお菓子、それに被服費でした。知らないうちに払い続けていたサブスクも見つかりました。
必要だと思い込んでいた支出に、なくても困らないものが混ざっていた。金額そのものより、この線引きができたことが大きな収穫でした。
ただ、この比べ方ができたのはコロナという特殊な状況があったからです。今ならもう少しシンプルにできます。
- 支出を半年分、項目別に書き出す
- 振り返って、不必要だった支出を考える
この作業はとても面倒です。それでも1〜2か月分を書き出すだけで、かなりの気づきがあります。
不要な支出を外していくと、最低限の暮らしにかかる額が見えてきます。この額が分かると、いくら手元に残しておけばいいのかが把握できるので、生活防衛資金の金額も決まります。あとになって投資額を決めるときの土台になりました。
保守的なわたしが、投資に踏み出せた理由
貯まってきたお金をどうするかを考えていた頃、コロナ禍で株価のニュースをよく目にしました。貯金で株を買ってみようかと考えたのは、このタイミングです。
ただ気軽に始めたわけではありません。わたしは保守的で無知だったため、株=ギャンブルという認識で、大切なお金が減る可能性のあるものに手を出すなんてありえないと考えていたからです。
しかし暇を持て余して見ていたYouTubeで、少しずつ考え方が変わっていきました。まず知ったのは、貯金の金額そのものは変わらなくても、物価が上がれば"価値"は目減りするということです。
経済は成長していくこと。株より安定的な値動きをするファンドというものがあること。そして株を買うのは企業の一部を持つことだという点が、わたしが思い込んでいたイメージとまったく違いました。ギャンブルのようにお金が移動するだけではなく、企業が生み出した価値が返ってくる仕組みでした。
こういった知識を学んだのはYouTubeやブログ、それに書籍です。特別なセミナーには行っていません。無料で手に入る情報でも、調べれば納得できるところまでたどり着けました。
そして、納得できたから踏み出せたというのが正直なところです。「みんなやっているから」でも「今始めないと損だから」でもありません。保守的な性格は変わっていないので、納得しないまま始めていたら、少し値下がりしただけで手放していたと思います。
踏み出す前に決めた3つのこと
実際に始めたのは、投資信託の月2万円の積立でした。
保守的な自分でも続けられる金額から入り、生活が苦しくならないことを確認しながら進めました。始める前に決めたのは次の3つです。
- 納得できるまで学んでから始める。仕組みとリスクを自分の言葉で説明できるようになるまで、はじめないし、金額も増やさない。
- 自分のリスク許容度に合う金額にする。減っても生活と気持ちが持ちこたえられる範囲に収める。
- 生活防衛資金は投資に回さない。収入が途切れたときに使うお金は、値動きのないところに置いておく。
この3つは、増やすための工夫ではありません。やめずに続けるための決めごとです。自分の指針がないと投資はできないということも、様々な情報を通して学びました。
ただ、積立を始めてしばらく経ってから、答えられない質問にぶつかりました。「それで、何のために増やすのか」という問いです。次回はライフプランを作ろうとして、手が止まった話を書きます。
ここに書いたのはわたし個人の経験と考え方で、特定の投資方法をすすめるものではありません。投資には元本を割り込む可能性があります。最終的な判断はご自身の状況によります。



